透き通る闇に刃翳しては
南に昇る月を見つめ
風に揺れる星 願う事も無く
諭された今に道はひとつ
感覚無くした脚でこれ以上
何度廻れど意味をなさぬ
ただこの手に握る穴だらけの温もり
そう 何も知らないまま生きる事は
問いかける言葉も 見つからない事で
もう一度だけその胸で音を聞かせて
忌まわしきあの山の城に
飲み込まれる前に
遠のく記憶にしがみつこうとも
叶いはしない 夢すら森へ
震える手首を広い湖へ
逆さに映る真の国へ
手を差し伸べて笑う黒い羽は
水面下に覗く世界へと誘うでしょう
ただその手に握る穴だらけの幻想
そう 誰も知らないまま生きる事に
従うしかないと わかっていたつもりで
もう一度だけ温かい人に触れたい
忌まわしきあの山の城で笑う
少女は独り